筋膜連鎖を使った施術ってどうやるの?
治療家のみなさんこんにちは。
日曜日は私が主催する『(全8回)柔道整復師の為の外傷セミナー』【大阪第4期】の第7講で、手関節のギプス作成について実技と講義をしました。

実際に受講生の方が作成したギプスです。
写真のような、結構タイトで無駄な部分をカットしたギプス作成の方法をレクチャーさせて頂きました。
結構タイトに巻きますので固定力がつよいのですが、無駄な部分をしっかりとカットしているので、固定中からリハビリを開始することができますので機能低下や拘縮が起こりにくく、回復も早いのです。
さてさて、本題にはいります。
私は日々の施術の中で、よく「筋膜連鎖」を使った施術をします。
「筋膜連鎖」って最近よく聞く名前ですね。
この「筋膜連鎖」を使った施術、実際にやってみると、、、
効果が分かりやすいし、
とても再現性が高い!!
なので、よく使います。
というか、最近は「筋膜連鎖」を使った施術がメインになっています。
で、よくセミナーの受講生などから質問を受けるのが、
「筋膜連鎖を使った施術ってどうやるの?」
という質問です。
という事で、本日は筋膜連鎖を使った施術の超入門編を紹介します。
まず、「筋膜連鎖」って何?という方の為に簡単に説明をしておきますと、
「筋膜連鎖」とは、
通常の解剖学では個別の物として扱われている別々の筋肉が「筋膜」や「何部組織」や「筋肉の起始部や停止部の骨」によって鎖のように繋がっていて、相互に作用しあっている。
という事です。
なんとなく分かりましたでしょうか??
手関節を動かす前腕の屈筋を使って簡単に説明します。
手関節を動かす前腕の屈筋は、上腕骨の内側上顆から始まり手根骨に停止します。
肘関節と手関節をまたぐ、いわゆる「二関節筋」です。
肩関節はまたいでいませんので、一般解剖学的には肩関節の動きには関係ありません。
が、そうでしょうか?
実験してみましょう!!
まずは前腕を中間位にで前に上げてみましょう
そこで手関節を背屈させて動きやすさを覚えておきましょう
つぎはそのまま腕を水平伸展させてこの肢位に持っていきます。
そこで、同じように手関節を背屈させてみてください。
背屈しにくいですよね?
前方挙上の時よりも、前腕の内側のつっぱり感が強いですよね?
え??
「そんなの当たり前でしょ!」って??
みなさん、感覚的に「そんなの当たり前でしょ?」って分かると思いますし、日々の施術の中で前腕の屈筋肉のストレッチを指導する時は肩関節を水平伸展位にしてストレッチしている事が多いのではないでしょうか?
でも、通常の解剖学的に考えると、
前腕の屈筋は上腕骨の内側上顆から手根骨に走っていますので、肩関節をどの肢位にしたところで、前腕の屈筋の起始と停止の距離は変わらないので、手関節の背屈のやりやすさは変わらないはずなんです。
でも実際は明らかに肩関節を水平伸展した方が手関節の背屈がしにくい。。。
さらに、
肩関節を水平伸展したまま、反対の手で大胸筋つかんで中心部に向けて引っ張ってみてください。
さらに、手関節の背屈がしにくくなりませんか?
これはどういう事か?
肩関節前面の筋や軟部組織と前腕の屈筋は繋がっているという事なんです。
もうすこし詳しく説明します。
上肢の前面には深層の
DFL(ディープ・フロント・アームライン)
と浅層の
SFAL(スーパーフィシャル・フロント・アームライン)
という二つの筋膜のラインが走っております。
それぞれ繋がっている筋肉は
●DFL(ディープ・フロント・アームライン)
第3-5肋骨-小胸筋-烏口突起-上腕二頭筋-橈骨粗面-橈骨骨膜-橈骨茎状突起-舟状骨-大菱形骨-母指外側
●SFAL(スーパーフィシャル・フロント・アームライン)
鎖骨の内側1/3・第1~3肋軟骨-大胸筋・広背筋-上腕骨内側縁-内側筋間中隔-手根屈筋群手根管-指の掌側面
です。
先ほどの実験はこのSFALの繋がりを証明することになります。
手根屈筋と大胸筋、学校で習う解剖学ではそれぞれまったく別々のもののような印象を受けますが、実際はこのように、ひとつの大きな筋膜のラインで繋がっております。
ので、前腕の屈筋の起始と停止の距離がまったく同じ状態でも、同じ筋膜ラインの他の部分を緊張させると、前腕の屈筋がタイトになって手関節の背屈がしにくくなるという事です。
大胸筋を中心部に引っ張って、大胸筋がすこしタイトになった状態をつくると、その緊張は前腕の屈筋群にまで及ぶという事ですね。
お分かりでしょうか?
逆に言うと、大胸筋や広背筋を緩めてあげると、おなじ筋膜ラインの前腕の屈筋群も緩むという事です。
では、これを施術にどう使うのか??
簡単にいうと、
ある筋に症状や筋緊張がでている場合、その筋肉だけでなく、同じ筋膜ラインの他の筋肉および組織をゆるめてあげると、その筋肉も緩む
という事です。
例えば、
前腕の屈筋腱の痛みを訴えている患者さんが来院されたとします。
触ってみると、尺側の手根屈筋がとても張っていて、同筋の腱鞘で痛みがでていたとします。
通常であれば、まずは、
前腕の屈筋群に鍼をしたり、マッサージをしたり、ストレッチをしたりすると思うのですが、なかなかそれではよくならない事ありますよね?
で、そんなときは、同じ筋膜のラインを触診してゆきます。
前腕の屈筋群はSFALに属しますので、
鎖骨の内側1/3・第1~3肋軟骨-大胸筋・広背筋-上腕骨内側縁-内側筋間中隔-手根屈筋群手根管-指の掌側面
を触診してゆきます。
で、
ん??なんかこの辺が張っている、とか、このあたりの皮膚の動き(特に筋膜ライン方向の)が悪いなーというところを発見したら、その部分をマッサージしたり、リリースしたり、鍼やストレッチで緩めてみます。
すると、
あれ??
前腕の屈筋も緩んでる!!
患者さんに症状の発現動作をしてもらうと症状が消えている!!
という事があるんです!
同じラインのどこが原因かよく分からない。。。
という場合は、とりあえず順番に全部アプローチすればOKです。
再現性も高いし、効果がすぐに分かりますし、ほんと面白いですよ!
手のひらの腱膜の動きをつけてあげるだけで、前腕の屈筋がゆるんだり、
大胸筋をストレッチするだけで、前腕の屈筋がゆるんだり、
広背筋の起始部である、腸骨稜をリリースしてあげると前腕の屈筋がゆるんだりします。
どうですか?
すぐに明日からの臨床で使えそうですよね??
実際は各筋膜ライン同志が複雑に繋がっているので、かならずしも同じ筋膜ラインに治療ポイントがあるというわけではなく、もう少し難しいのですが、まずは、症状が出ている筋肉があれば、その筋肉が属する筋膜のラインを端から端までアプローチすれば、かなりの確率で効果を出せると思いますので、是非やってみてください。
この筋膜のラインですが、人間の体には11個の筋膜ラインがあります。
これらをなんとなく覚えるだけで、施術のアプローチがかなり変わってくると思います。
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上で紹介した筋膜ラインの図のこの本より引用させて頂きました。
筋膜連鎖についてかなり詳しく書かれていて、最近は時間があればこの本ばかり読んでいます。
かなり面白いですよ!
違う筋膜ラインの臨床での使い方についてもまた機会があれば書きますね。
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塩川 徹(しおかわ とおる)
しおかわ鍼灸接骨治療院院長
http://www.honekun.com
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